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第三十四話



四月になり観光都市・京都はどこへ行っても大勢の人で賑わっています。新しい景観条例も施行され、看板や街の明かりなどもずいぶん京都らしく、はんなりとした雰囲気になってきたようです。

市内中心部などの古い京町家の再生はいたる所にみられ、カフェやインテリアショップなどに新たにRe デザインされる様は大変面白いです。もちろん一から新しく建てられた建物もありますが、鉄骨を組みながらも、出来上がってみると前からそこにあるが如く京町家風に仕上がっています。

ただ、あまりにも京都らしさや京町家にしようという意識だけが強すぎて、何だか張りぼての映画のセットのような感じになってしまうのは残念に思います。京都の夜はネオンや明かりの規制もあるので、最近はしっとりとした照明が増えてきました。

祇園の細い路地の奥にある料理屋さんなどに、夕暮れ時明かりが灯ると本当に雅な世界で、何気ない風景なのですが、すぐに雑誌の京都特集の一ページの出来上がりです。


街全体がデザインされて美しくなっていくのは良いことだと思います。そんな京の街を散歩していると、かえってそこに住まう人々の生活感が、より一層季節や風情を表現してくれていることに気が付きました。

京町屋風のお店の横の路地奥にはお地蔵さんがあったり、季節の花の植木鉢が置いてあったりします。これからの時期だとあやめや鉄線、紫陽花などの植木鉢が無造作にならんでいたりします。街がデザインされた分、その無造作であることが風情を感じる美しさに思われます。美しい観光地の夜のライトアップ、それに対し路地奥の家々の蛍光灯の青白い光の下にボーと浮かび上がって見える植木の花たち。

そんなひっそりと静かな姿に安らぎを感じたりもします。私も美しいデザインで花を生けることばかりにとらわれず、どこか自然体で、自分の生活の中から生まれるゆっくりとしたゆるい感じのデザインも大切にしたいなと思います。
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